【1】繁忙期に、毎年残業代が膨らむときは?
残業をさせた場合には、労働基準法上
①法定労働時間を超えて働かせた場合は
割増賃金率25%以上、
②法定休日に働かせた場合は
割増賃金率35%以上、
③深夜時間帯に働かせた場合は
割増賃金率50%以上、
というように、
時間当たり単価にそれぞれ割増率を
かけて支払う必要があります。
繁忙期には、時間外労働や休日出勤が
どうしても多くなり、
残業代が膨らんでしまうという
ご相談を受けることがあります。
このような場合、
労働時間を弾力的に運用できる
「1年単位の変形労働時間制」を
検討してみるのもよいかと思います。
【2】1年単位の変形労働時間制って、
どんな制度なの?
労働基準法では、労働時間は、
原則1日8時間、週40時間まで
(法定労働時間)となっており、
この時間を超えると割増賃金が
必要になってきます。
「1年単位の変形労働時間制」は、
この労働時間を弾力的に運用できる
ようにした制度の一つです。
このような制度を導入すれば、
繁忙期の休日を少なく、
閑散期の休日を多くするような
取扱いもできるようになります。
【3】どういう業種に向いているの?
例えば、お中元やお歳暮が繁忙期に
なるデパートや
入学・入社・転勤の時期が繁忙期に
なる引越業など
毎年の繁忙期が決まっている業種は
向いています。
また、製造業のように、機械をなるべく
連続稼働させたほうが効率がよい場合など、
連休に合わせて休日を集中させるように
している場合も多いです。
【4】どうやって採用するの?
この制度の採用にあたっては、
対象労働者の範囲や対象期間と
その起算日、
対象期間における労働日及び
その労働日ごとの労働時間などを
労使協定で定めて、
事前に労働基準監督署に届出する
必要があります。
自社にとって効率的な労働時間の
設定をすることができるように
なりますが、連続稼働など、
従業員の負担も大きくなるので、
対象期間における労働日数の限度
(1年当たり280日)や
連続労働日数の限度(原則6日)、
労働時間の限度(1日10時間、週52時間)等
が詳細に定められていますので、
注意が必要です。
通常は、このような限度を遵守した
会社の年間カレンダーを作成して
運用していくことになります。