先日、社員の能力向上を支援するため、資格取得支援制度を整えたい
と考えているが、そのような制度を作ると資格取得のための研修や学習
時間等が、労働時間としてカウントされるのではないかとの疑問が社員
からあがってきているが、大丈夫とのお問合せがありました。
結論としては、受験等が業務命令で行われない限り、資格取得支援制度
の創設により、研修の受講や学習時間が労働時間とされることはありません。
優秀な技能や免許・資格保持者が多いということは、会社としても
営業上有利に働き、また社員本人にとっても客観的な能力評価も高まる
ので、このような制度を設けて従業員の意欲を伸ばし、会社として
支援する体制を整えていくことは重要です。
資格取得支援制度を創設したとしても、その内容が資格取得を励行し、
資格受験料や講習受講料の補助、合格報奨金の支給等を定め、また社内
で研修等を実施して支援するようなものならば、労働時間等の問題が
生じる余地はなく、会社及び意欲のある社員にとっては、むしろ望ましい
ものであるといえます。
ただし、資格取得支援制度の有無にかかわらず、受験やそのための
講習受講等が会社の明示的又は黙示的な業務命令の場合には、労働時間
となります。
例えば、会社として当該社員が受験することがどうしても必要な場合
(例えば、資格保持者がいないと事業自体が法律上認められていない場合
に、資格取得者が退職してしまい、事業の継続ができない等)には、
受験及び講習受講等が黙示的な業務命令とみられ、その時間は労働時間と
されると考えられます。
制度の創設に当たっては、受験やその準備については、社員が自由に
決められるようになっているか、社内研修等の実施や受講料の補助等を
行う場合でも、社員がそれを受けるかどうかは、あくまで社員の自由に
任せるようになっているか、をチェックしてください。