労働基準法上の賃金

労働基準法では、「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」とされています。賃金に該当すれば、賃金支払5原則の適用や、平均賃金の算定や割増賃金の算定の基礎になりますので、該当するか否かが問題になることがあります。この点、逆に賃金と認められないものとして、通達では、①任意・恩恵的性格のもの、②福利厚生的性格のもの、③実費弁償的なもの、④その他労働の対償ではないもの、⑤使用者が支払うものでないもの、が挙げられています。

しかし、これにもそれぞれ例外があり、判断が難しいですので、以下、具体例をあげてみましょう。①については、結婚祝金や災害見舞金などが該当しますが、就業規則等であらかじめ支給が明確に定められているものは、賃金に該当します。②については、住宅の貸与、生命保険料の補助などが該当しますが、住宅の貸与の場合、非貸与者に均衡手当を支給する場合には賃金に該当します。また、従業員が負担すべき所得税や社会保険料を会社が負担する場合も賃金となります。③については、出張旅費、交際費などが該当しますが、通勤手当や労働協約による通勤定期券は賃金となります。④については、解雇予告手当、休業補償費などが該当しますが、休業手当は賃金となります。⑤については第三者から受けるチップなどが該当しますが、使用者がチップを集めて、従業員に再配分するような場合は賃金に該当します。

企業によって、いろいろな形で従業員へ支給するものがあると思いますが、賃金に該当するかの判断は、このように少しややこしい場合がありますので、迷ったら、ご相談されるのが確実です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

コメント

お名前

ウェブサイトURL

CAPTCHA