パートから正社員へ登用した際に、試用期間を設けてもよいか?

【1】試用期間とは?
試用期間は、
多くの会社で設けられています。
その目的は、採用時の履歴書や面接等
だけでは分からなかった、
勤務態度、職場への適応、職務能力、
業務適格性などを、一定の期間の
実際の勤務状況を見て、
把握するためです。

この試用期間については、
試用期間中に従業員が不適格であると
会社が認めた場合には解約できる
「解約権留保付の労働契約」と
解されています。

パートから正社員に登用する場合、
すでに職場への適応や能力、
勤務態度等勤務の実績を把握した上での
登用であると思います。
ならば、実務的にも試用期間を設ける
必要性は低いと思われます。

また、試用期間の目的、
試用期間中の従業員の地位の不安定さに
鑑みれば、基本的には新たに試用期間を
設けるということは無効とされる可能性が
高いと考えられます。

実際にも、
本人の同意を得て試用期間を設けた場合に、
本人が同意していたとしても、
原則として許されないとした判例があります。

【2】試用期間を設けてよい場合もある?
例えば、パートのときはレジ係で、
正社員に営業として登用されたときなど、
まったく異なる職種へ変更されて登用
されるなど、新たに雇用したのと同視
できるような場合には認められる
可能性はあります。

このように、業務が全く異なる場合は、
業務適格性やその職務能力について、
問題ないか把握する期間が必要となる
からです。

また、パートとしての勤務時間が
極端に短くて、正社員としての就業が
本当に可能かを判断する場合なども
ありかと思います。

ただし、職場への適応や、勤務態度等
についてはすでに把握できているので、
その期間等については、
一般の新たな雇用者と異なった
配慮をしてもよいかと思います。

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