【1】労災保険の特別加入制度
労災保険は、労働者の仕事中や通勤途中
のケガ等が給付対象になるので、労働者に
該当しない社長や役員は基本的には対象
となりません。
しかし、中小企業の社長等は、一般の
従業員と同じような仕事をしていることも多く、
同じようにケガ等をする可能性があります。
そこで、このような場合に労災保険へ任意に
加入することが認められています。
中小事業主等の特別加入制度になります。
【2】どのような場合に認められるか?
特別加入が認められる中小事業主等の規模は、
下表のとおりです。
そして、下記要件を満たす必要があります。
①その事業に使用される労働者について
労災保険の保険関係が成立していること
②上記①の事務処理を労働保険事務組合に
委託していること
③その事業に従事する者(全員)を包括
して加入すること
④事業主が(労働保険事務組合を通じて)
申請し、政府の承認を受けること
労働保険事務組合とは、
中小事業主の委託を受けて、代わりに
労働保険の事務処理を行う団体のことです。
中小事業主等については、
この労働保険事務組合に委託していないと、
特別加入はできないことになります。
中小事業主等として対象となるのは、
代表者、家族従事者、その他の役員等になります。
【3】どのような給付が受けられるのか?
特別加入した場合には、
原則的に一般の従業員と同様の保険給付を
受けることができます。
(一部除外されている給付もあります)
中小事業主等の特別加入者にも
通勤災害制度は適用されます。
労災保険の給付については、こちらからを
ご参考にしてください。
⇒http://jr-support.com/archives/905
【4】給付額や保険料は?
休業(補償)給付等で、1日当たりの給付の
基礎となる額(給付基礎日額)については、
16階級(3,500円~25,000円)あり、
本人が希望する額に基づいて
都道府県労働局長が決定します。
中小事業主等の特別加入者の保険料は、
保険料算定基礎額(給付基礎日額を365倍)
に第一種特別加入保険料率で計算します。
第一種特別加入保険料率は、現在は、
その事業に適用されている労災保険料率
(労災保険料率は事業の種類によって異なる)
と同率です。
例えば、給付基礎日額10,000円で卸売業
(保険料率1000分の3.5)の場合、
保険料は、10,000円×365×3.5/1,000
=12,775円になります。
社長も従業員と同じような仕事をしている
場合には、特別加入を検討するのもよい
ですね。
もし、ご不明な点ありましたら、
お気軽にお問合せください。
小栁人事労務サポート