【1】雇用契約書では、何を定めればよい?
従業員を雇うときには、雇用契約書や
労働条件通知書等を作成するかと思います。
これは、従業員がどのような労働条件で働くかと
いうことについて、会社との取り決めになりますので、
非常に重要です。
それゆえ、労働基準法でも、
会社に労働条件を明示する義務を課しています。
労働条件の中でも、特に重要な事項である
給料や勤務時間、休日、仕事内容など、
「絶対的明示事項」と呼ばれるものについては、
書面の交付によって明示する決まりになっています。
その認識に労使で食い違いがあったら、
大問題になってしまうので、
お互いに正確に確認させる趣旨です。
書面の交付により明示すべき「絶対的明示事項」に
該当するものは、下記になります。
①労働契約の期間に関する事項
②期間の定めのある労働契約を更新する場合の
基準に関する事項(更新の有無と更新の判断基準)
③就業の場所及び従事すべき業務
④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、
休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて
就業させる場合における就業時転換に関する事項
⑤賃金の決定、計算及び支払いの方法、
賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む)
そのほかに、退職手当や賞与、懲戒、休職に関する
ことなど、定める場合には明示する必要がある
「相対的明示事項」というのもあります。
【2】雇用契約書を作成する際のポイント
雇用契約書等を作成する際は、
一から作成するのではなく、
おそらく、どこかからひな型を入手して
作成していくことになると思います。
雇用契約書作成時の
ポイントを挙げてみます。
①最新の法改正に対応しているひな型を使用する。
法律は、常に改正されていますので、
改正に対応しているひな型を探してください。
②正社員、契約社員、パート等、雇用形態に
即したひな型を使用する。
雇用形態により、労働条件は違うことが
ほとんどでしょうし、パートさんには、
パートタイム労働法が適用されるなど、
異なった対応が求められます。
例えば、パートタイム労働法により、
パートさんには、雇用管理の改善等に関する事項に
係る相談窓口を文書により交付する必要があります。
通常、雇用契約書等に明記しておくのですが、
正社員用の雇用契約書のひな型では
この部分が抜けてしまうおそれがあります。
③労働条件が法律違反になっていないか確認する。
例えば、最低賃金を割り込んでいたり、
休憩時間が法定時間に不足していたり、
割増賃金率が法定以下だったり、
パートさんの有給休暇を無しにしていたり、
というようなことがあります。
④ひな型に入っている数字や内容を
鵜呑みにせず、自社の労働条件を決める。
例えば、パートさんの有給休暇を6ヵ月後10日
としているひな型があります。
しかし、所定労働日数が週4日かつ週所定労働時間が
30時間未満の場合は、比例付与といって、
その所定労働日数に応じた付与で足ります。
週4日の方は、7日です。
⑤契約内容について、お互いに認識に相違がないか
しっかり確認しておく。
労働条件の内容については、しっかり明記・説明し、
認識違いがないか、お互いによく確認しましょう。
例えば、業務手当5万円支給となっていた場合、
会社としては、固定残業代分のつもりでも、
そのことが書かれていなければ、受け取る側は、
業務手当とは別に残業代が払われると思っても
仕方ないでしょう。
この場合は、業務手当は、固定残業代として
○○○○○円(時間外労働○時間分)支払う
というように明記しておきましょう。
【3】それでも、不安な場合は?
確かに、雇用契約書は、
トラブルの種になりやすいので、
自力での作成は、不安もあるかと思います。
専門家に、自社仕様の雇用契約書のひな型だけ
でも作成してもらうか、作ったものを一度専門家
にみてもらうとよいでしょう。
ただし、法律が改正されると、また、
内容が異なってくる場合もありますので、
定期的に確認しましょう。
もし、ご不明な点ありましたら、
いつでも、お問合せください。
小栁人事労務サポート