採用時において、
求人票や求人広告に記載されている労働条件と、
実際に採用に当たって取り決める労働契約上の内容が異なる場合、
トラブルになりやすくなります。
求人者は、求人の申込に当たり、
労働条件を明示しなければなりません。
これと、実際の労働契約とが違った場合に、
どちらが優先するのかについて問題となります。
この点、採用面接の結果、応募者と使用者との間で、
求人時の労働条件と異なった労働条件の合意がなされれば、
労働者を保護すべき事情がない限り、
この合意が優先するというのが一般的な考え方になっています。
しかし、判例では、
「求人票に記載された基本給については見込額あって、
最低額の支給を保障しているわけではない」として、
法的拘束を認めていないものもあれば、
一方で「求人票記載の労働条件は、当事者間において、
異なる別段の定めをするなどの特段の事情のない限り、
雇用契約の内容となる」とされ、
退職金有りと明示されていた場合に、
退職金の支払義務があると判示されたものもあります。
求人票の労働条件が即、実際の労働契約の労働条件とされる
とは考えにくいですが、
応募者は、その労働条件を重要な判断材料として
応募してくるのですから、
労働条件を変更して採用したい場合には、
変更点を明確にして提示した上で、
応募者の合意を得ておくべきでしょう。
使用者には、そもそも雇用契約時に労働条件の明示義務があり、
求人票の記載とは別に本人に明示する必要があるので、
後々のトラブルに発展しないためにも、
募集時の労働条件と異なる労働条件での契約になる場合には、
必ずその変更部分を雇用契約書等の文書にて応募者に明示・説明し、
お互いよく確認した上で契約を締結(押印)するようにしましょう。